ACN外ネコ調査(報告5)有屋町1年目と大熊町3年目終了

報告第5弾。

2019年度から始まったACN(奄美ネコ問題ネットワーク)の外ネコ調査、現在までのご報告です。

ACNとは、NPO法人奄美野鳥の会・奄美哺乳類研究会、一般社団法人奄美猫部の3団体が中心となり、奄美大島のネコ問題解決に向けて、啓発イベントや小中学校への出前授業などを協力して行っている団体です。

新たな展開として始まったのが、外ネコモニタリング調査。

代表して、奄美猫部のブログでご報告させて頂いています。

また、2020年度より奄美市からの「野良猫モニタリング事業」として業務委託を受けることができました。

カメラやプリンター、紙代などの機材購入など、不自由なく揃えることができるようになりました。

そして、2019年度の大熊町に続いて2020年度、新たに近隣の有屋町でもスタートしました。


同地区で11月に行った事前調査の様子は、前回のブログで紹介していますので、よろしければご確認ください。

外ネコ調査に関する全ての記事は、カテゴリー「ACN外ネコ調査」の報告ブログをご覧ください。



まずは外ネコモニタリング調査の方法・目的をご紹介。

1番の目的は、なんといってもモニタリングです。

そしてこの調査の素晴らしいところは、その地域の住民の皆さんに実際に調査して頂くという所。カメラと地図を持って自ら歩き、調査をして頂きます。

そしてその地域の屋外に、どのくらいの数のネコがいるのか、また耳カットの有無を調べる調査です。

1年目はTNR(※)を間に挟んで事前調査と事後調査の2回行います。2年目からは、年に1回のモニタリング調査を行い、耳カット無し個体が発見されれば、またTNRを行い、さらにモニタリングを続ける、といった具合です。

この取り組みのもう一つ素晴らしいところは、行政のTNRに調査結果を活用してもらえる所。耳カット無しの個体は行政TNRで捕獲・手術してもらっています。たまに猫部も手伝ったり。

そしてそれを数年間継続して行い、増減の確認、将来的には外ネコゼロを目指しています。

※TNRとは、ノラネコを捕獲(Trap)し、不妊手術(Neuter)し、元の場所に戻す(Return)、一連の作業のことでノラネコ対策の一つ。手術済みの印に、耳にV字の切り込みを入れます。


2020年度はなんといっても、コロナ感染症拡大の影響でスケジュール調整に苦労しました。何度も延期になり、天候にも恵まれず、調査に最適な季節や時間帯を逃しどうなることか?とヒヤヒヤしながらも、なんとか無事両地域ともに調査を終えることができました。

大熊に至っては、3年目のモニタリングも先日終えたばかりです。

ブログの更新が追いつかず、まとめての報告になり情報量多めになっておりますが、ご容赦ください。

地域が増えてくると収取がつかなくなりそうなので、報告の仕方も検討中です・・・。

とりあえずは、1年目の有屋町の調査から。


・有屋町

11月の事前調査の後、調査結果をもとに奄美市環境対策課によりTNRを行なって頂きました。

その後、そのTNR済の個体と調査で確認された耳カット無しの個体との照合を行いました。

なんと、素晴らしいことに、確認された個体は1匹を除いて全てTNRすることができました。


<調査結果について>

TNR個体との照合作業と同時に、前回の集計結果の誤差も発見されたため、数値が前回報告のものと違うことをご勘弁ください。個体識別作業を住民の方にして頂くので、どうしても1年目は慣れるのに時間がかかり、同じネコが重複していたりします。

また、写真が無い又は鮮明でなかったりする「不明ネコ」の扱いをどうするか、不妊率の計算をどうするか決めかねていましたが、’20年度より、不明ネコは数に入れない、不妊率は飼い猫以外で計算(不妊率=手術済 ÷(手術済+手術未))ということになりました。

ですので、前回報告と若干違う数値になっております。

また、調査を継続する中で未確認個体も増えてくると思われますが、今のところ調査を初めてまだ1〜2年であることから、保護した、死体を確認・回収した等の確証がない限りは、ここ数年間は生息していると仮定しての結果となっています。どれくらいの期間未確認であれば死亡、または異動個体としての扱いになるか、これから検討していくことになると思います。


それらを踏まえての事前調査の結果です。


事前調査結果

2020年10月29日(木)15:00~17:00、10月30日(金)15:00~17:00

耳カットネコ(手術済)            18頭

耳カット無ネコ(未手術)             5頭    不妊率 78%

飼いネコ(登録/手術の確認済)          2頭

確認頭数(不明ネコ含まず)           25頭      

(不明ネコ(写真無又は写真が鮮明でなく判別不能)5頭)    


その後のTNRで、耳カットなし個体5頭のうち4頭の手術が行われました。


耳カットネコ(手術済)            23頭       

耳カット無しネコ(手術未)          1頭   


それを踏まえて、今度は事後調査です。

感染症拡大と天候に振り回され、年をまたぎつつも、なんとか実施できました。

寒い季節にも関わらず、有屋町内会とACNから約30名の方々にご参加いただきました。

感染症拡大の影響で、屋外での集合解散の工夫をした上での調査となりました。

3回目、4回目ともなれば皆さん慣れてきて、写真の撮り方もとても上達して心強かったです。

寒い明け方の時間帯でしたが、意外にも目撃個体も増え、精度がましてきました。


有屋町 事後調査の様子

有屋町 事後調査 集計作業の様子



事後調査結果

2020年12月5日(土)7:30~9:00、2021年1月16日(土)7:30~9:00

耳カットネコ(手術済)             38頭

耳カット無ネコ(未手術)            1頭   不妊率 97%

飼いネコ(登録手術の確認済)           2頭

確認頭数(不明ネコ含まず)           41頭

(不明ネコ(写真無又は写真が鮮明でなく判別不能)5頭)


・2021年3月27日(土)有屋町外ネコ調査報告会

1年目は、調査の意義や効果を知っていただく為、町内会の皆様向けに報告会を開催しています。

報告会も、感染症拡大の影響があり、大勢をご招待することができず残念でしたが、調査に参加していただいた方を中心に約30名お集まり頂きました。


実は、この報告会の直前に、1頭だけ残っていた耳カット無しネコのTNRが成功しました。なかなか捕まらなかった個体でしたが、奄美市環境対策課の皆様が頑張って頂いたようです。

よって、調査で目撃された外ネコで未手術のネコは一応いなくなりました。


これまでの調査結果は、下記の(表1)ご確認ください。


結果も素晴らしいですが、会後半の意見交換の時間には、本当に多くのご意見や質問をいただきました。

無責任な餌やりや糞尿被害が絡む問題も、都会の住宅街同様、この奄美の市街地でも同じようにあります。

ですが、一方的に責めるだけではトラブルになるだけで解決に至らないことが多く、どうしたら良いかを一緒に考えていくこと、対話しながら模索することを、猫部はずっと伝え続けてきました。

有屋町でも、やはり問題を抱えた現場がなくはないですが、奄美は人間関係が濃密だからこそ、それぞれの抱えている背景や生活への配慮もしながら見守ることも必要ではないかと、そのような雰囲気の中で意見交換することができたように思います。

あまりネコ問題に関心がなかった方々も、調査に参加するまではネコが目に止まることはなかったようですが、調査に参加してみると、ネコを見かけると耳カットの有無が気になったり、問題の奥深さを真剣に考えて頂いたりと、今までとは問題意識が変化していたようでした。また、他にもネコを巡る問題への相談や質問も出て、とても有意義な報告会となりました。

調査や報告会にご参加いただいた有屋町内会の皆様、本当にありがとうございました。


そして、この調査は今後数年間継続が必要になります。

次年度以降も引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。


有屋町 外ネコ調査報告会の様子




表1




有屋町内会外ネコ調査報告会の地元新聞掲載記事

3月29日 南海日日新聞社

https://www.nankainn.com/local/野良猫の不妊化進む%E3%80%80奄美市名瀬有屋町で調査報

3月29日 奄美新聞社

http://amamishimbun.co.jp/2021/03/29/30659/



・大熊町

さて、続いては3年目の調査がこの5月に完了した大熊町のご紹介です。

まずは、初年度の2019年度に続いて2年目の2020年の調査から。

(以前の調査の様子は、カテゴリー「ACN外ネコ調査」で紹介しております。よろしければご確認ください。)


2020年度調査

こちらも、コロナ感染症拡大の影響で延期が続いたり、天気に邪魔されたりと、一筋縄ではいきませんでしたが、なんとか調査を開催することができました。

同じく、町内会とACNから約30名ほど集まって頂きました。

途中、雨に降られるハプニングもあり、かなり寒い中での調査となりました。

が、外に出ているネコ達はいたようで、目撃個体はやはり確認されました。


そして今回より、調査で撮影した写真と今までの写真との照合・集計作業やデータ入力作業、ネコマップの更新作業までも、町内会のリーダーさん達にご協力頂けることになりました。

ネコの柄の些細な違いや1頭1頭の顔つきの具合など、個体識別の難しさも合間って、とても時間のかかる作業です。慣れない作業で大変だったかと思いますが、黙々と取り組んで頂きました。以下、調査結果です。


2年目モニタリング調査結果

2021年1月10日(日)7:30~10:00、1月31日(日)7:30~10:00

耳カットネコ(手術済)             25頭

耳カット無ネコ(未手術)            2頭   不妊率 92.6%

飼いネコ(登録手術の確認済)           7頭

確認頭数(不明ネコ含まず)           34頭

(不明ネコ(写真無又は写真が鮮明でなく判別不能)3頭)


大熊町 2年目モニタリング調査の様子

大熊町 2年目モニタリング調査の様子


この時の調査は、地元ローカルテレビ「KKB鹿児島放送」の夕方のニュースで、猫部運営の保護猫カフェと合わせて取り上げていただきました。

・2021年1月20日 KKB鹿児島放送18時台のニュース番組 名瀬大熊町の調査の様子放映

https://www.youtube.com/watch?v=9xKYaxHo_JI




2021年度調査

続いて、今年度の調査について。

前回が寒い中での調査だった為、町内会からの「暖かい時期にやった方が良いのでは?」とのご意見や、前年度の反省からも、梅雨に入る前のゴールデンウィークでの開催となりました。

この時期はコロナ警戒レベル5の厳戒態勢の中でしたが、最小限の人員と、屋外での集合・解散という工夫をし、約20名ほどご参加頂きました。大熊の調査員の皆様は、既にほぼベテランの域に達しており、お陰様で無事に調査を行うことができました。

そして集計作業・ネコマップ更新作業も、大熊町内会のリーダーさん達のかなりの上達ぶりのお陰で、スムーズに作業を終えることができました。

また、奄美市環境対策課にもご協力頂きながら、データ入力や集計方法の改良も行い、より良いものにブラッシュアップされてきたお陰でもあります。改めてご協力に感謝致します。

大熊町においても、調査継続が必須です。

これからもご協力をよろしくお願い致します。


以下、大熊町3年目モニタリング調査結果です。


3年目モニタリング調査結果

2021年4月25日(日)8:00~10:00、5月2日(日)8:00~10:00

耳カットネコ(手術済)             27頭

耳カット無ネコ(未手術)            2頭   不妊率 93.1%

飼いネコ(登録手術の確認済)           7頭

確認頭数(不明ネコ含まず)           36頭

(不明ネコ(写真無又は写真が鮮明でなく判別不能)4頭(飼い猫確認中1頭含む))


大熊町 3年目モニタリング調査の様子

大熊町 3年目モニタリング調査の様子


大熊町 集計作業の様子

大熊町 集計作業・ネコマップ更新作業の様子



これまでの大熊町の調査データは下記の(表2)の通りです。


表2


<まとめ>

両地域ともに、90%以上の不妊率を維持し続けています。

要因は、飼い猫の適正飼育が進んできたことに尽きると思います。本当に嬉しく思います。そして、ノラネコ対策のTNRの効果も。TNRは、行政だけではなく、住民が自腹で行なってもいます。これまで猫部も、住民の方からの相談を受けて、TNRのお手伝いをしてきました。有屋町の方からも何度かご相談を受け、捕獲して頂いたりの経緯もあります。

そうした色々な方々の、ご協力があっての成果だと思います。

ですが、猫部にはノラネコが産んだであろう子猫の相談が、今でも、特にこの時期は頻繁に来ます。

市街地は、まだまだモニタリングが手付かずの地域が多くTNRしきれていないネコが生息しているのは確実です。郊外のモニタリングしている地域でさえも、モニタリングですら発見できないネコ達もまだ生息している可能性は大いにあります。

これからは、そのTNRしきれていない未手術のネコたちをどうするかが、最大の課題になってくるでしょう。模索しながらの対策はまだまだ続きます。